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係争委決定が公開されました

18日(通知書では19日)に決定された審査の申出の却下の決定が総務省のWebサイト上で公開されました。
総務省Webサイトはこちら

さて、
結論は、先日もお伝えしたように、承認処分については沖縄防衛局は私人の立場において相手方となっているものであるから、行政不服審査法7条2項は適用されず、したがって、行政不服審法に基づく審査請求は適法というものです。
以下が結論命題に相当する部分です。

「公有水面の埋立承認による埋立権限の付与という効果は、免許における一般私人と同様の立場に向けられたものということができ、この埋立権限の付与処分(承認)を取り消す処分は埋立権限を奪う不利益処分として、国(の機関)がその「固有の資格」において受ける処分には当たらないというべきである。」(7頁)

その論拠は、私人に対する免許と国の機関に対する処分は、その効果において埋立権限の付与という点で同一だというものです。
それでは、埋立てによって生じた土地の所有権の成立の仕方に差異がある(免許では知事の認可が必要だが、承認では知事に通知すればよい)ことはどう考えたらよいのでしょうか。
これについては、係争委は、たしかに「法律効果の規律につき免許と承認との間に差異がある」ことは認めますが、これは「埋立てに付随する効果」にすぎないと整理します。つまり、埋立事業が埋立法の目的で、私的所有権の成立は「おまけ」というのでしょう。
そのことを説明しているのは、以下の部分です。

「一般私人の行う埋立事業に対する免許においては、処分の要件、処分の効果は埋立権限の付与に向けられており、埋立地における所有権の成立には竣功認可という別個の処分を要するものであり、他方、承認においても、処分の要件、処分の効果は埋立権限の付与に向けられており、埋立ての結果として公有水面に対する支配権が埋立地の所有権に代わるという法律効果が生ずるので(承認の効果として埋立地の所有権が創設されるものでは
ない。)、それを竣功通知で明らかにしたものと解されるのである。」(6頁)

しかし、上記の説明は、埋立法1条が公有水面が国の所有に属する(ここでいう所有とは公物に対する支配権という趣旨で、私的所有権の趣旨ではありません)ことを宣言していることを無視しています。かりに本来的効果はどちらか、といえば、私的所有権の成立に関する方ではないでしょうか。
ま…

係争委が審査の申出を却下しました

2月18日(月)に行われた国地方係争処理委員会の会議において、国土交通大臣がした承認撤回の執行停止決定を違法な関与だとして、昨年11月30日に玉城沖縄県知事が提出していた審査の申出を却下しました。

決定書がまだ発出されていないため理由の詳細は不明ですが、会議後行われた記者会見において富越委員長がした説明を敷衍すれば、沖縄防衛局は私人の立場において承認を受けた以上、撤回もまた私人の立場において受けたものである以上、行政不服審査法7条2項に該当しない、したがって、執行停止決定は地方自治法245条3号括弧書きに該当するので、審査の申出の対象とならない、というものです。
沖縄防衛局が私人の立場にあるとする理由として、承認基準と免許基準が同一であること、国の官庁が行った埋立竣工については知事の認可は不要で通知で足りるという所有権の規律の相違は適法な埋立がなされた後のものであるから、承認の性質に影響を与えるものではないというもののようです。

2015年12月に埋立承認取消の執行停止に対する審査の申出を却下する際には、係争委は、私人の立場であるかどうかに疑念はありつつも、国土交通大臣の解釈は一見明白に不合理とはいえないから裁定的関与に当たると判断をしたにとどまり、私人の立場か固有の資格かについて委員会の立場を明確にすることはありませんでした。しかし、今回の決定は、さらに一歩踏み込み、委員会もまた沖縄防衛局や国土交通省と同じ立場に立つことを明らかにしたものです。

今回の決定の理論的な問題については決定書が公になってからあらためて指摘しますが、辺野古埋立の賛否を問う県民投票まで残すところ1週間を切った時期に、沖縄県の主張を認めない決定をしたことはきわめて政治的な意図を感じます。
とくに係争委は当初90日の審査では足りないといっていたのですが、審査期間をまだ10日を残しているにもかかわらず、決定したことは不可解ともいえます。
しかも、18日は、安部首相が仲井眞知事(当時)と約束した、5年以内の普天間基地運用停止の期限日でした。運用停止は移設問題とは切り離されていたはずにもかかわらず、埋立工事を進めるだけで、運用停止に向けてのアメリカ軍への具体的な働きかけは政府は何もしてきませんでした。まるでこれを隠すために決定が下されたかのようです。

係争委の委員の方々は18日の意味をご存じなかった…

辺野古埋立て岩礁破砕等差止請求訴訟控訴審判決が下されました

12月5日、普天間飛行場代替施設建設事業にかかる岩礁破砕等行為の差止請求事件の控訴審判決が福岡高裁那覇支部において言い渡されました。判決は控訴棄却(沖縄県敗訴)でした。
控訴審判決 → リンク

解説
判決の理由は、一審と同様に、本訴が「法律上の争訟」にあたらないから、というものです。
本訴は、もともと、沖縄県漁業調整規則が漁業権の設定されている海域においては水産資源を保護するために岩礁破砕等を行う場合には知事の許可を要するとしているにもかかわらず、2017年4月以降、国(沖縄防衛局)が、岩礁破砕等を行うおそれがある埋立てのための護岸建設を工事を進めていることについて、これを阻止するために沖縄県が提訴したものでした。
法律構成としては、本訴は、漁業調整規則によって岩礁破砕等行為が禁止されているにもかかわらず、無許可でこれを行うことは行政法令によって課されている不作為義務を履行していない状態に当たるとして、その不作為義務の履行を求めて、当事者訴訟を通じて、岩礁破砕等行為の差止め(予備的に不作為義務の確認)を当事者訴訟によって請求したものです。
しかし、行政法令上の義務の履行を求める訴訟は、いわゆる宝塚パチンコ規制条例違反事件・最判が「法律上の争訟」に当たらないとしていたために、本訴についてもそれにしたがった判断がされるおそれがあったところ、第一審も控訴審もとくに事案の相違を考慮するとか、行政法学説から批判の強い最高裁判決を再吟味するとかすることなく、判例に追従した判決を下しました。
もともと、国(所管庁は水産庁)も沖縄県と同様の解釈(漁業組合が埋立事業者との関係において漁業権の一部を放棄しても、知事の免許によって設定された、埋立区域の海域の漁業権は消滅しないから、なおも岩礁破砕等の許可が必要である)をとっており、辺野古の埋立てについても当初は岩礁破砕等の許可(許可時の知事は、埋立を承認した仲井眞知事)を得て工事を進めていました。しかし、旧許可は2017年3月31日に失効し、更新が必要とされる状況になり、埋立てに反対の翁長知事の下では許可の更新を得られないと考えた政府は、その年の2月に官邸で防衛省、水産庁を交えた調整会議を行い、水産庁に解釈を180度変更させました。
何でもありの政府のやり方について裁判所の判断を求めたのが本訴だったわけですが、裁判所は批判の強い判例に依拠…

沖縄防衛局の審査請求先の誤りについて

玉城沖縄県知事は、12月3日に、国交大臣に対して、違法な執行停止決定を自ら取り消すよう求める通知文を送付したとの報道がありました。

沖縄タイムスHP(12月4日)「効力停止申し立て『請求先に誤り』 沖縄県、国交省へ文書 埋め立て承認撤回」  リンク

沖縄県知事「執行停止決定取消し要求について」リンク

すでに、沖縄県は、さる11月29日付でした審査の申出においても、沖縄防衛局の行った審査請求及び執行停止の申立ては、審査すべき行政庁を誤ったものであり、それを看過して国交大臣が行った執行停止決定は違法であるとの主張をしております。
審査申出書 リンク

解説
地方自治法第255条の2第1項は、都道府県知事の法定受託事務にかかる処分についての審査請求は、法令所管大臣に対してすることを定めているところ、同条第2項は、都道府県知事がその権限を補助機関等に委任している場合には、都道府県知事に対して審査請求をし、その裁決に不服がある場合には法令所管大臣に対して再審査請求をすると定めています。
今回、翁長知事の死去によって知事を代行した富川盛武副知事が、法定代理庁として知事の権限の一部である公有水面埋立法の埋立承認の取消権限を謝花喜一郎副知事に委任をし(平成30年8月17日沖縄県公報4669号)、同副知事が行政庁として埋立承認撤回処分を行いました。したがって、上記第255条の2第2項が適用され、沖縄防衛局は、国土交通大臣にではなく、沖縄県知事に審査請求をすべきであったということになります。
審査の申出の主張および今回の通知文は、このような理解にたって行われたものです。



沖縄防衛局による民間桟橋を使った埋立土砂の搬出作業に対する沖縄県の対応について

沖縄防衛局は、困難となっていた辺野古埋立予定地への土砂投入を行うため、地元企業がセメント搬出用に利用している桟橋を埋立用土砂の搬出に活用することとし、12月3日に土砂を搬出用の船に積み込む作業を始めました。
この件について、玉城知事は同日記者会見を行い、同桟橋は設置完了届けがなされておらず県国土交通省所管公共用財産管理規則に違反して作業がされていること、県赤土等流出防止条例に基づく事業行為届出が提出されていないことを理由として、作業を中止するよう要請しました。

知事コメント(安和桟橋を利用した土砂搬入作業について)→ リンク

なお、これを受け、岩谷防衛大臣は、4日の記者会見で作業を提出させていると明らかにしました。
沖縄タイムスHPより → リンク

国土交通大臣が承認撤回処分の効力の停止を決定しました

2018年10月30日、国土交通大臣は、10月16日付で沖縄防衛局がしていた埋立承認撤回処分の執行停止の申立てを認容し、同処分の効力の停止を決定しました。通知が正式に沖縄防衛局に到達する31日に停止の効力が発生します。

執行停止決定書はこちら


執行停止決定に対する玉城知事の談話はこちら


管理人コメント
 国交大臣は、沖縄防衛局は審査請求する資格があると判断しているが、その理由を埋立承認の撤回が「処分」であることに求めている。埋立承認が撤回されることによって沖縄防衛局が埋立をする法的地位・利益を失うのは、一般の事業者と変わりがない。しかし、問題の行政不服審査法7条2項は、「固有の資格において当該処分の相手方となっている」国の機関については審査請求の規定を適用しないと定めているのだから、「処分」であることのみを理由にして、この規定の適用を免れることはできない。埋立免許と埋立承認の仕組みの「違い」から「固有の資格」を読み取る県の意見を一顧だにしていない。沖縄防衛局は一般事業者であるとの結論には変わりはないとしても、3年前の決定の方が「違い」の有無について検討を加えていた。
執行停止の基幹的な要件の「重大な損害を避けるために緊急の必要性がある」については、沖縄防衛局の主張を鵜のみにしている。しかし、主張する普天間飛行場の危険性の除去が遅れることによる損害のおそれは、付近住民に生ずる損害であるが、埋立事業者たる沖縄防衛局に生ずる損害ではないし、日米の信頼関係・同盟関係への悪影響による外交・防衛上の不利益は「公益」に属するものであって、埋立工事では一般私人でしかない沖縄防衛局に生ずる損害ではない。県の意見書もまたこれを指摘するのだが、決定書にはそれを検討した形跡すらもない。
 法的論理として破たんした執行停止決定といえよう。

承認撤回処分についての審査請求書と執行停止申立書が公開されました

10月26日に防衛省は、沖縄防衛局が17日に行った審査請求にかかる審査請求書と執行停止申立書を公開したとの報道がありました(琉球新報10月27日付け)。

管理人が提供を受けていた両文書を公開するので、関心のある方はご覧ください。

審査請求書はこちら

執行停止申立書はこちら