係争委が審査の申出を却下しました

2月18日(月)に行われた国地方係争処理委員会の会議において、国土交通大臣がした承認撤回の執行停止決定を違法な関与だとして、昨年11月30日に玉城沖縄県知事が提出していた審査の申出を却下しました。

決定書がまだ発出されていないため理由の詳細は不明ですが、会議後行われた記者会見において富越委員長がした説明を敷衍すれば、沖縄防衛局は私人の立場において承認を受けた以上、撤回もまた私人の立場において受けたものである以上、行政不服審査法7条2項に該当しない、したがって、執行停止決定は地方自治法245条3号括弧書きに該当するので、審査の申出の対象とならない、というものです。
沖縄防衛局が私人の立場にあるとする理由として、承認基準と免許基準が同一であること、国の官庁が行った埋立竣工については知事の認可は不要で通知で足りるという所有権の規律の相違は適法な埋立がなされた後のものであるから、承認の性質に影響を与えるものではないというもののようです。

2015年12月に埋立承認取消の執行停止に対する審査の申出を却下する際には、係争委は、私人の立場であるかどうかに疑念はありつつも、国土交通大臣の解釈は一見明白に不合理とはいえないから裁定的関与に当たると判断をしたにとどまり、私人の立場か固有の資格かについて委員会の立場を明確にすることはありませんでした。しかし、今回の決定は、さらに一歩踏み込み、委員会もまた沖縄防衛局や国土交通省と同じ立場に立つことを明らかにしたものです。

今回の決定の理論的な問題については決定書が公になってからあらためて指摘しますが、辺野古埋立の賛否を問う県民投票まで残すところ1週間を切った時期に、沖縄県の主張を認めない決定をしたことはきわめて政治的な意図を感じます。
とくに係争委は当初90日の審査では足りないといっていたのですが、審査期間をまだ10日を残しているにもかかわらず、決定したことは不可解ともいえます。
しかも、18日は、安部首相が仲井眞知事(当時)と約束した、5年以内の普天間基地運用停止の期限日でした。運用停止は移設問題とは切り離されていたはずにもかかわらず、埋立工事を進めるだけで、運用停止に向けてのアメリカ軍への具体的な働きかけは政府は何もしてきませんでした。まるでこれを隠すために決定が下されたかのようです。

係争委の委員の方々は18日の意味をご存じなかったのかもしれないし、理論的に確信をして却下決定をしたのかもしれない。しかし、決定が政治的に利用されることは回避すべきであった。

なお、係争委決定についての知事コメントは以下をご覧ください。
知事コメント


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