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辺野古埋立て岩礁破砕等差止請求訴訟控訴審判決が下されました

12月5日、普天間飛行場代替施設建設事業にかかる岩礁破砕等行為の差止請求事件の控訴審判決が福岡高裁那覇支部において言い渡されました。判決は控訴棄却(沖縄県敗訴)でした。
控訴審判決 → リンク

解説
判決の理由は、一審と同様に、本訴が「法律上の争訟」にあたらないから、というものです。
本訴は、もともと、沖縄県漁業調整規則が漁業権の設定されている海域においては水産資源を保護するために岩礁破砕等を行う場合には知事の許可を要するとしているにもかかわらず、2017年4月以降、国(沖縄防衛局)が、岩礁破砕等を行うおそれがある埋立てのための護岸建設を工事を進めていることについて、これを阻止するために沖縄県が提訴したものでした。
法律構成としては、本訴は、漁業調整規則によって岩礁破砕等行為が禁止されているにもかかわらず、無許可でこれを行うことは行政法令によって課されている不作為義務を履行していない状態に当たるとして、その不作為義務の履行を求めて、当事者訴訟を通じて、岩礁破砕等行為の差止め(予備的に不作為義務の確認)を当事者訴訟によって請求したものです。
しかし、行政法令上の義務の履行を求める訴訟は、いわゆる宝塚パチンコ規制条例違反事件・最判が「法律上の争訟」に当たらないとしていたために、本訴についてもそれにしたがった判断がされるおそれがあったところ、第一審も控訴審もとくに事案の相違を考慮するとか、行政法学説から批判の強い最高裁判決を再吟味するとかすることなく、判例に追従した判決を下しました。
もともと、国(所管庁は水産庁)も沖縄県と同様の解釈(漁業組合が埋立事業者との関係において漁業権の一部を放棄しても、知事の免許によって設定された、埋立区域の海域の漁業権は消滅しないから、なおも岩礁破砕等の許可が必要である)をとっており、辺野古の埋立てについても当初は岩礁破砕等の許可(許可時の知事は、埋立を承認した仲井眞知事)を得て工事を進めていました。しかし、旧許可は2017年3月31日に失効し、更新が必要とされる状況になり、埋立てに反対の翁長知事の下では許可の更新を得られないと考えた政府は、その年の2月に官邸で防衛省、水産庁を交えた調整会議を行い、水産庁に解釈を180度変更させました。
何でもありの政府のやり方について裁判所の判断を求めたのが本訴だったわけですが、裁判所は批判の強い判例に依拠…

沖縄防衛局の審査請求先の誤りについて

玉城沖縄県知事は、12月3日に、国交大臣に対して、違法な執行停止決定を自ら取り消すよう求める通知文を送付したとの報道がありました。

沖縄タイムスHP(12月4日)「効力停止申し立て『請求先に誤り』 沖縄県、国交省へ文書 埋め立て承認撤回」  リンク

沖縄県知事「執行停止決定取消し要求について」リンク

すでに、沖縄県は、さる11月29日付でした審査の申出においても、沖縄防衛局の行った審査請求及び執行停止の申立ては、審査すべき行政庁を誤ったものであり、それを看過して国交大臣が行った執行停止決定は違法であるとの主張をしております。
審査申出書 リンク

解説
地方自治法第255条の2第1項は、都道府県知事の法定受託事務にかかる処分についての審査請求は、法令所管大臣に対してすることを定めているところ、同条第2項は、都道府県知事がその権限を補助機関等に委任している場合には、都道府県知事に対して審査請求をし、その裁決に不服がある場合には法令所管大臣に対して再審査請求をすると定めています。
今回、翁長知事の死去によって知事を代行した富川盛武副知事が、法定代理庁として知事の権限の一部である公有水面埋立法の埋立承認の取消権限を謝花喜一郎副知事に委任をし(平成30年8月17日沖縄県公報4669号)、同副知事が行政庁として埋立承認撤回処分を行いました。したがって、上記第255条の2第2項が適用され、沖縄防衛局は、国土交通大臣にではなく、沖縄県知事に審査請求をすべきであったということになります。
審査の申出の主張および今回の通知文は、このような理解にたって行われたものです。



沖縄防衛局による民間桟橋を使った埋立土砂の搬出作業に対する沖縄県の対応について

沖縄防衛局は、困難となっていた辺野古埋立予定地への土砂投入を行うため、地元企業がセメント搬出用に利用している桟橋を埋立用土砂の搬出に活用することとし、12月3日に土砂を搬出用の船に積み込む作業を始めました。
この件について、玉城知事は同日記者会見を行い、同桟橋は設置完了届けがなされておらず県国土交通省所管公共用財産管理規則に違反して作業がされていること、県赤土等流出防止条例に基づく事業行為届出が提出されていないことを理由として、作業を中止するよう要請しました。

知事コメント(安和桟橋を利用した土砂搬入作業について)→ リンク

なお、これを受け、岩谷防衛大臣は、4日の記者会見で作業を提出させていると明らかにしました。
沖縄タイムスHPより → リンク

国土交通大臣が承認撤回処分の効力の停止を決定しました

2018年10月30日、国土交通大臣は、10月16日付で沖縄防衛局がしていた埋立承認撤回処分の執行停止の申立てを認容し、同処分の効力の停止を決定しました。通知が正式に沖縄防衛局に到達する31日に停止の効力が発生します。

執行停止決定書はこちら


執行停止決定に対する玉城知事の談話はこちら


管理人コメント
 国交大臣は、沖縄防衛局は審査請求する資格があると判断しているが、その理由を埋立承認の撤回が「処分」であることに求めている。埋立承認が撤回されることによって沖縄防衛局が埋立をする法的地位・利益を失うのは、一般の事業者と変わりがない。しかし、問題の行政不服審査法7条2項は、「固有の資格において当該処分の相手方となっている」国の機関については審査請求の規定を適用しないと定めているのだから、「処分」であることのみを理由にして、この規定の適用を免れることはできない。埋立免許と埋立承認の仕組みの「違い」から「固有の資格」を読み取る県の意見を一顧だにしていない。沖縄防衛局は一般事業者であるとの結論には変わりはないとしても、3年前の決定の方が「違い」の有無について検討を加えていた。
執行停止の基幹的な要件の「重大な損害を避けるために緊急の必要性がある」については、沖縄防衛局の主張を鵜のみにしている。しかし、主張する普天間飛行場の危険性の除去が遅れることによる損害のおそれは、付近住民に生ずる損害であるが、埋立事業者たる沖縄防衛局に生ずる損害ではないし、日米の信頼関係・同盟関係への悪影響による外交・防衛上の不利益は「公益」に属するものであって、埋立工事では一般私人でしかない沖縄防衛局に生ずる損害ではない。県の意見書もまたこれを指摘するのだが、決定書にはそれを検討した形跡すらもない。
 法的論理として破たんした執行停止決定といえよう。

承認撤回処分についての審査請求書と執行停止申立書が公開されました

10月26日に防衛省は、沖縄防衛局が17日に行った審査請求にかかる審査請求書と執行停止申立書を公開したとの報道がありました(琉球新報10月27日付け)。

管理人が提供を受けていた両文書を公開するので、関心のある方はご覧ください。

審査請求書はこちら

執行停止申立書はこちら

行政法研究者有志による声明を発表しました

声明
辺野古埋立承認問題における日本政府による 再度の行政不服審査制度の濫用を憂う                          2018年10月26日                                                                                                              行政法研究者有志一同
沖縄県は、2018年8月31日、仲井眞弘多元知事が行った辺野古沿岸部への米軍新基地建設のための公有水面埋立承認を撤回した(以下「撤回処分」という)。これに対し、10 月17日、防衛省沖縄防衛局は、行政不服審査法に基づき、国土交通大臣に対し撤回処分についての審査請求と執行停止申立てを行った。これを受けて、近日中に、国土交通大臣は撤回処分の執行停止決定を行うものと予想されている。  国(防衛省沖縄防衛局と国土交通大臣)は、2015年10月にも、同様の審査請求・執行停止申立てと決定を行い、その際、私たちは、これに強く抗議する声明を発表した。そして、福岡高等裁判所那覇支部での審理で裁判長より疑念の指摘もあった、この審査請求と執行停止申立ては、2016年3月の同裁判所での和解に基づいて取り下げられたところである。  今回の審査請求と執行停止申立ては、米軍新基地建設を目的とした埋立承認が撤回されたことを不服として、防衛省沖縄防衛局が行ったものである点、きわめて特異な行政上の不服申立てである。なぜなら、行政不服審査法は、「国民の権利利益の救済」を目的としているところ(行審 1 条 1 項)、「国民」、すなわち一般私人とは異なる立場に立つことになる「固有の資格」において、行政主体あるいは行政機関が行政処分の相手方となる処分については明示的に適用除外としている(行審 7 条 2 項)にもかかわらず、防衛省沖縄防衛局が審査請求と執行停止申立てを行っているからである。 そもそも公有水面埋立法における国に対する公有水面の埋立承認制度は、一般私人に対する埋立免許制度とは異なり、国の法令遵守を信頼あるいは期待して、国に特別な法的地位を認めるものであり、換言すれば、国の「固有の資格」を前提とする制度である。国が、公有水面埋立法によって与えられた特別な法的地位(「固有の資格」)にありながら、一般私人と同様の立場で審査…

沖縄県、執行停止申立てに対する意見書を提出

2018年10月24日付で、沖縄県は、10月17日に沖縄防衛局が国土交通大臣に対してした埋立承認撤回処分の執行停止の申立てに対し意見書を提出しました。

意見書

意見書別紙1 申立適格を欠いた不適法な執行停止申立てであることについて

意見書別紙2 「重大な損害を避けるために緊急の必要性があると認めると
き」等の執行停止の要件が認められないこと

意見書別紙3 本件承認取消処分が適法であること

防衛省、総務省等からのヒアリング(沖縄等米軍基地問題議員懇談会にて)

2018年10月24日(水)午前8時~ 衆議院第二議員会館にて「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」2018年度第12回総会が開催され、辺野古埋立工事、沖縄防衛局による審査請求などについて、防衛省、総務省、内閣官房、国土交通省よりヒアリングが行われました。

 総務省は、沖縄防衛局に対する埋立撤回処分が、固有の資格においてなされた処分に該当するか否かは、「当該処分の根拠となる法令に照らして、当該法令を所管する府省において判断される」との見解を示しました。
 また、行政機関が行政不服審査法に基づいて審査請求/執行停止申立てを行った事例の照会に対し、ナンバリングをして過去に5事例があったことを示しました。3年前の辺野古承認取消処分に対する審査請求/撤回には言及していますが、ナンバーは附してありません。
 撤回後1ヶ月半を経過した申立てであるから執行停止を要する緊急性がないのではないかとの質問には、「個別の事案に即して、審査庁において判断されることになりますが、行政不服審査法上、審査請求人が執行停止の申立てを行う時期については特段の規定はなく、審査請求後、裁決までの間いつでも行うことが可能とされています…。」と解答しました。
 全体として木で鼻をくくったような回答に終始したようです。

懇談会記録



行政法研究者有志による声明を公表します

辺野古埋立承認問題における日本政府による 再度の行政不服審査制度の濫用を憂う

行政法研究者有志一同は、このたび、10月26日(金)に衆議院第2議員会館にて、辺野古埋立承認撤回処分につき沖縄防衛局がしている審査請求および執行停止申立てを憂慮する声明を公表するとともに、説明のための記者会見を行います。 周知のように、10月17日に沖縄防衛局は、行政不服審査法に基づき、国土交通大臣に対し、沖縄県が8月31日にした辺野古埋立承認の撤回処分についての審査請求と執行停止申立てを行いました。これを受けて、近日中に、国土交通大臣は撤回処分の執行停止決定を行うものと予想されています。 私たちは、このたびの審査請求および執行停止申立ては、国民のための権利救済制度である行政不服審査制度を濫用するものであり、法治国家に悖るものだとの見解を共有しており、審査庁たる国土交通大臣にこれを却下するよう求めるために声明を発表することにいたしました。 記者会見では声明文を公表し、その趣旨を説明するとともに、質問などにお答えする予定でおります。
日時: 2018年10月26日(金)午後5時~6時
場所: 衆議院第2議院会館地下1階第8会議室

辺野古埋立承認問題における日本政府による再度の行政不服審査制度の濫用を憂う声明呼びかけ人
岡田正則(早稲田大学教授)紙野健二(名古屋大学名誉教授) 木佐茂男(北海道大学名誉教授・九州大学名誉教授)榊原秀訓(南山大学教授) 白藤博行(専修大学教授) 徳田博人(琉球大学教授) 人見剛(早稲田大学教授)本多滝夫(龍谷大学教授)  山下竜一(北海道大学教授)亘理格(中央大学教授)


とりまとめ担当 龍谷大学法学部 教授 本多 滝夫 当日の会場担当 専修大学法学部 教授 白藤 博行

辺野古訴訟 行政法学に問いかけるもの 2

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辺野古訴訟支援研究会 第2回 公開研究会

2018年10月13日(土)18時~19時30分
専修大学神田学舎1号館8A会議室(8階)


報告 徳田 博人 氏 (琉球大学教授) 「辺野古埋立承認撤回における行政法学の課題」 コメント 中川 丈久 氏(神戸大学教授)
桑原 勇進 氏(上智大学教授)
資料